こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。
争族対策の基本中の基本として【遺言書】を作っておくことの重要性は最近よく耳にします。
確かに遺言書作成割合を示す2012年の調査データは以下の通りになっています。
▼経済産業省 … 4%
▼日経新聞社アンケート(2012年8月5日付記事) … 16%
日経新聞社の読者は知識層が多いためか、経済産業省の数値より高くなっているものの、
全体の2割に満たない水準です。
そんな中で最近は、遺言書までは仰々しいということなのか、【エンディングノート】が
注目されています。エンディングノートとは、万一の時、家族や親族が困らないように、
葬儀や墓の希望など自分の意思を書き込んでおく冊子で、他に自身に介護が必要になった
際に希望することや、延命措置の希望、財産など相続に関すること、自分史などを書いたり
します。中には、2年で25万部売れたノートもあるようで、世間の関心の高さがうかが
えます。
しかし、遺言書やエンディングノートというのは、争族対策のテクニック論にすぎません。
相続対策の本質は、次世代のみならず、三世代にわたり物質的のみならず精神的にも、
子々孫々が豊かになるための家系設計なのです。
「金持ち三代続かず」「長者二代なし」「売り家と唐様で書く三代目」
という言葉がありますが、これらは三代続く繁栄がいかに難しいかを意味しています。
真の相続対策は、遺言書やエンディングノートに終始するのではなく【家訓】をつくる
ことです。名家には、家訓が必ず存在します。
歴史をたどれば、江戸時代の中期頃から、石田梅岩などの心学思想の影響もあって、
数多くの商家に家訓が誕生しました。その背景には、自らの家の存続や一族の将来に対する
明確な見通しが持てなくなったことがありました。
そうした家系の将来不安から、自らの死後も子孫代々の繁栄が続くようにと願い、自らの
経験に基づいた戒めや教えを「家訓」という形で、数多く後世に書き残したのです。
このお話は次回に続きます。
誰しもいつか必ず直面する相続。相続を爽族にするよう、ベターではなく、ベストの相続
シナリオを設計していきましょう。
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