» 2013 » 12月のブログ記事

Man's Hands Signing Document

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の岩佐です。

今年も残りわずかとなりましたね。

年末が迫ってくると、相続の世界でも【生前贈与】の年内完了がポイントに

なってきますが、相続対策が必要な方々に抜かりはないでしょうか?

 

相続対策の基本中の基本は、生前に財産を移転しておくこと。

贈与が【いつ】あったかによって課税関係に大きな影響を及ぼします。

贈与税の計算単位は【暦年(1~12月)】だからです。

また相続開始前3年以内の生前贈与した財産は、相続税の計算上、相続財産

に加算されます。

さらに不動産を贈与する場合、年内の贈与か、年明けの贈与かによって、

不動産の相続税評価額の計算上、適用する「路線価」が変わってくる場合

があります。

 

以上の背景から、贈与の日付を贈与契約書上で明確にしておくことは

大変重要な意味を持ちます。

ただ贈与契約書を作成したものの、その有効性が問題になるケースが

あります。

 

それは契約書上の贈与の日付が【自署】ではなく、パソコンによる印字が

なされている場合です。

これは将来の遺産分割協議の際や相続税の税務調査を受けた場合に、

日付をバックデイトして作成されたと、あらぬ詮索を受けるリスクがあります。

 

よって、贈与の意思のタイミングを明確にするため、

 

▼贈与者(あげる人)

▼受贈者(もらう人)

 

の【自署】でもって、契約書上の日付を記入するようにして下さい。

つまり後で筆跡鑑定されても問題ないように万全を期して頂きたい

と思います。

自署が基本になるというのは、相続発生後の遺産分割協議書と同じです。

 

ただ幼少の孫へ贈与する場合はどうすればよいのでしょうか?

幼少の子供であれば、自分の名前すら書けないこともあるでしょう。

この場合、受贈者(もらう人)の名前をパソコンによる印字になっても

構いません。ただし、親権者の自署は絶対不可欠です。

民法824条の「親権を行う者は子の財産を管理し、かつ、その財産に

関する法律行為についてその子を代表する」に基づくわけです。

 

なお、贈与契約書上の【押印】は必ずしも実印じゃなくても問題ありません。

ただ重要な財産や高額な財産の贈与に関する契約書の場合、

近くの文房具屋さんで買ってきたかのようなハンコであれば、

「こんな安っぽいハンコで大丈夫?」と、あらぬ詮索を受けかねません。

よって、実印がベストでしょう。

 

以上のように、契約書さえ作っておれば、贈与は法的に成立したと

100%みなされるわけではありません。

署名と押印の問題も十分に注意を払って下さい。

年内に贈与を完結させたい財産がある場合、詰めが甘くならないように

して下さいね。

 

相続はすべてのご家庭に起こります。

明日に向かって相続を“爽族”にしていきましょう。

 

 

 

 

孫

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の岩佐です。

日経MJの2013年ヒット商品番付が先日発表されました。

 

▼東の横綱 … セブンカフェ

▼西の横綱 … あまちゃん

 

を筆頭に、半沢直樹、式年遷宮、マー君などがエントリー。

そして税理士として目を引いたのは何と、

【西の前頭】に「孫への教育資金贈与」

がランクインされていたこと。

 

これは平成25年度税制改正の目玉として新たに創設された優遇制度。

1,500兆円の個人金融資産のうち6割が高齢者の資産で占めるといわれる中、

昨年6月、信託協会が世代間の資金移転を促すための新たな金融商品の必要性を

政府に要望したことから誕生しました。

 

相続ブームの中、信託銀行がこの制度を本格的に取り扱いをスタートし、

ヒット商品となりました。

この制度の概要は以下の通りです。

 

●贈与者(あげる人)… 祖父母

●受贈者(もらう人) … 30歳未満の孫

 

●概要イメージ

金融機関に一括で1,500万円を預け、その後孫が 幼稚園から大学への進学時に

かかる教育資金とし て引き出せば【贈与税ゼロ】でOKの制度。

 

●非課税金額

①学校 … 1,500万円   ②塾・予備校(学校以外) … 500万円

 

●期間 … 平成25年4月1日~平成27年12月31日(2年9ヶ月間)

 

また、必要な手続きとしては下記のとおりです。

 

《Step①》 祖父母が金融機関へ預け入れ(信託等)

《Step②》 「教育資金非課税申告書」を金融機関経由で、孫が税務署へ提出

《Step③》 金融機関から引出し、教育機関へ支払う場合は「領収証」や「振込

明細」等を孫が金融機関へ提出(何度でも引出しOK)

《Step④》 30歳に孫が到達した時点で終了    

⇒ 使い切らなかった分は孫が30歳に達した日に【贈与】が

あったものとして贈与税が課税される。

(注) 金融機関は上記書類を孫が30歳に達した日の翌年3月15日から6年間保存する必要あり。

 

相続税対策の有効策として信託銀行で契約が急増したとのこと。

ただ運用上の課題がありますので、注意が必要です。

 

幼児期に1,500万円の上限まで贈与された孫が勉強嫌いなどで仮に1,000万円

の教育資金が30歳時点で余った場合、40%の贈与税が課税されます。

余ったらダメなのです!

 

また、この商品を活用しなくても、

従来より、孫への教育費は【非課税贈与財産】扱いでした。

その際は祖父母が自分の意志で孫の学校や塾の費用を贈与したことが立証

できればOK!

 

世間で多くの人が飛びつくものほど、落とし穴があるのが世の常です。

ヒット商品ではあるものの、デメリットもあれば、代替案もあります。

簡単に飛びつくのではなく、よ~く検討して下さいね。

いつか誰しも直面する相続。

明日に向かって、相続を“爽族”にしていきましょう。

 

DSC_0025

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の岩佐です。

2013年の世相を1字で表す「今年の漢字」が【輪】に決まりましたね。

日本漢字能力検定協会が先日、京都市の清水寺で発表しました。

 

2020年東京五輪の開催決定、富士山の世界文化遺産登録が官民のチームワーク

で実現したこと、国内外で起きた災害からの復興に支援の輪が広がったことが

理由に挙がったそうです。

 

来週私どもでは2件の相続税申告案件の納品が控えています。

 

「遺産分割協議書」を正式にお渡しし、法定相続人の皆様の自署押印を頂戴します。

相続をきっかけに兄弟姉妹関係がぎくしゃくしてしまうことはよくあります。

 

幸いにも、この2件のお客様は特に“争族”の様相もなく、ほんとに平和で穏やかに

遺産の分割を決めて頂きました。やはり「平和が一番!」と思った次第です。

 

【輪】だけでなく、特に相続の世界は【和】も重要です。

この必要条件は「遺言書の存在」であるわけですが、

どんなに完璧な遺言書を書いても、遺言を実行するときには書いた人はこの世に

いないため、遺言をどのように解釈するか迷ったり争いになったりした場合、

本人の聞くことはできません。

 

遺言の解釈にあたっては、最高裁判所の判例によると、

次の通り遺言者の真意を合理的に探究すべきであるといわれています。

 

▼遺言書に書かれていることから遺言者の真意が合理的に解釈できる場合は、

遺言書に書かれていない遺言を作った当時の事情や、遺言者の置かれた状況

などによって、遺言者の意思を解釈することはできない。

 

▼ただし、遺言書に書かれていることから遺言者の真意が合理的に解釈できない

場合は、遺言書に書かれていることの意味を知るために、遺言者がその言葉を

どのような意味で書いたのかを明らかにする必要があり、

そのためには遺言書を作った当時の事情や遺言者の置かれた状況を考慮すべき

である。

 

 

う~ん、難しいですね…(苦笑)

遺言の解釈は法定相続人の利害や思惑、立場によって当然異なるもの。

だからこそ、残された家族が迷わないように、遺志はオブラートに包むことなく、

明確に示してあげる。

これが「輪と和」を実現するベスト相続シナリオです。

いつか誰しも直面する相続。

明日に向かって、相続を“爽族”にしていきましょう。

 

 

__

 

 

神戸のベスト相続相談協会の岩佐です。

平成27年1月1日から相続大増税が始まりますが、相続で重要なのは「相続税」だけ

ではありません。一番重要なことは円満に財産を分けることです。

 

どんなに相続税を少なくすることができても、争族が起こってしまっては意味がありません。

相続をきっかけに家族の関係がギクシャクしてしまうことはよくあることです。

 

そこで争族防止対策として【遺言書】は大切になります。

最近は遺言書に関する書籍やキットなどを参考に、セルフで遺言書が簡単に書けるように

なってきました。いわゆる【自筆証書遺言書】ですね。

 

しかしながら、遺言書を書き残してしまったためにかえってトラブルになるケースも

増えています。

せっかく遺言書を作成しても、その遺言が原因でもめてしまえば、逆効果です。

 

自筆証書遺言の場合、“法的”に問題ないかどうかチェックして下さい。

よくあるのは以下の通りです。

 

①本文が自筆で書かれていない

②日付が【吉日】になっており、特定できない

③印鑑が押されていない

④文字の訂正で訂正文言や署名、押印などがない

 

また、法的に無効にはならないものの、トラブルの原因になりやすい事項は

以下の通りです。

 

①不動産のことを“家”と書いている

②不動産の表示が地番ではなく、“住居表示”で書かれている

③「相続させる」ではなく、“あげる”と書かれている

④金融資産に関する言及がすべて網羅されていない

(例:ゆうちょ銀行の貯金があるにもかかわらず、都市銀行の預金のみの記載)

 

この他にも、例えば自宅に長女の家族と同居しているのに、自宅を長女と長男の共有

で相続させる内容となっているのもベスト相続シナリオとは言えません。

 

自筆で遺言書を作成する場合は十分注意を払って下さい。

世の中何事もそうですが、手軽にできそうなことほど落とし穴があるもの。

誰しもいつか必ず直面する相続。

明日に向かって、相続を“爽族”にしていきましょう。