こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の岩佐です。
来年度から相続大増税が本格的に始まるとはいえ、相続税の計算制度には
色んな「優遇措置」があります。
その一つが【配偶者の税額軽減】です。
これは、亡くなった人の夫や妻など「配偶者」が遺産を相続した場合にのみ
適用される特別ルール。
具体的には以下のいずれか大きい方の金額まで、配偶者は相続税ゼロという
制度です。
▼1億6000万円 or 配偶者の法定相続分(例:4人家族なら2分の1)
例えば、100億円の大富豪の男性が亡くなり、残された家族のうち、
仮に妻が法定相続分の2分の1に相当する、50億円の遺産を相続したとします。
この場合、配偶者の相続税はゼロでOKになります。
これは極端な例としても、よくあるケースとして例えば、
1億円の遺産のある父親が亡くなったとしましょう。そこで母親一人に遺産を相続
してもらえば、上記の【配偶者の税額軽減】の条件にあてはめると、相続税はゼロ
になる可能性が高いです。
【全ての遺産を母親に相続させる】というのは、税金面だけでなく、
▼伴侶を亡くした親を経済面で安心させてやりたい
▼子供のうちの誰かに集中させるより相続人間の同意を得やすい
という面もあるでしょう。
しかし注意して下さい!
残った親に財産を集中させたことが後々、大きな誤算につながるケースも
あります。
なぜなら【配偶者の税額軽減】を活用し、【1次相続】の税負担を
軽くして乗り切れたとしても、緊急避難措置としては意味がありますが、
単に問題の先送りに過ぎないという面があるからです。
【配偶者の税額軽減】は【1次相続】のみの優遇措置であり、
【2次相続】では使えません。
また、4人家族の場合、1次相続時は法定相続人が3人(母・長男・長女)
であっても、2次相続時では法定相続人が2人(長男・長女)に減って
しまいます。
そうなると、
▼配偶者の税額軽減が使えない
▼1人当り600万円(2015年以降)の基礎控除枠が減る
▼結果として、全体の相続税額が増える
というマイナス要素が一気に【2次相続】時に噴出してしまう
リスクがあるのです。
よって、相続対策を練る際は目先の1次相続だけでなく、
【長期視点】で2次相続も見据えなければなりません。
長期視点の重要性を説いた名言を3つ紹介しましょう。
▼遠き慮りなければ、必ず近き憂いあり by 論語
▼遠きをはかる者は富み、近きをはかる者は貧す
by 二宮尊徳
▼計画を持て! 長期の計画を持っていれば、忍耐と
工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる
by 電通「鬼十則」
遺産分割の方法を安易な方向で誤ってしまうと、その後の負担が急激に
上昇してしまわないようによく検討して下さい。
相続はすべての家庭に起こります。
明日に向かって相続を“爽族”にしていきましょう。
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