こんにちは、ベスト相続相談協会の岩佐です。
相続が発生したとき、故人の遺産状況が【プラスの財産 < マイナスの財産】になっていれば、
▼相続放棄
という手続きを【3ヶ月以内】に家庭裁判所で行えば、プラスの財産の承継をすべて諦める
代わりに、マイナスの財産(負債)を引き継がなくても済みます。
しかし、実務上はなかなか【3ヶ月】という時間は短い。
家族が亡くなった直後、喪も明けないうちにすぐに遺産分割協議の手続きとならない場合が
一般的です。
遺産の把握に入る前に、通夜や葬式などの故人を悼む儀式があり、取り急ぎ必要となる死亡届
などの手続きがあり、まずはそちらが優先されます。
例えば、四十九日の喪が明けてから遺産の整理に取り掛かろうとするなら、相続放棄の期限
3ヶ月のうち、もはや半分以上が経過してからのスタートになります。
こうして考えてみても、非常にタイトなスケジュールなのです。
また、いざ故人の借入状況を把握したいといっても、現実問題そんなに簡単ではないことも
あります。
▼借入先と交わしていた契約書がどこに保管してあるのか?
▼借入の利息の支払状況などはどうなっていたか?
など負債の詳細を家族と共有しているケースばかりだとも限りません。
もしろ、多くの状況は全く逆になります。
人間だれしもマイナスの情報は家族の耳に入れたくない。
そんなことから、故人が敢えて情報を遮断し、残された家族は何も聞かされて
いなかったというケースも少なくなりません。
ただ銀行系などの各種の信用情報機関に登録されている情報について、相続人
からの開示請求ができる場合があります。しかし、この調査もスムーズに進む
というわけでなく、1件あたりの照会に数週間単位の時間がかかる場合もあり
ます。
この他にも、相続放棄の際の注意点は、他の親類縁者への影響です。
実は相続放棄の手続きというのは、いったん自分たちだけが相続を放棄してしまえば
それで終わりというわけでもありません。
放棄によって宙に浮いた権利や義務は、次の順位の相続人へどんどん移っていきます。
例えば、父が亡くなり、その相続人の妻や子供たちがそれぞれ相続放棄の手続きをした
とします。
こうなると、妻や子供たちは負債を相続することはなくなります。
しかし、他にも祖父祖母、叔父叔母、いとこなど法律上で次の順位の相続人となるべき
立場の人がいれば、次はその人たちに順々に負債の相続が廻ってくるのです。
相続放棄はあくまで個人単位の手続きですが、次の順位の親族が何も手続きをしなければ、
結局は債務がそこに引き継がれてアウトになってしまいます。
ですから、このあたりの影響度も考慮に入れながら、手続きを進める必要があります。
家庭裁判所への相続放棄の手続き自体は、必要書類さえ集まっていれば、そこから何ヶ月
もかかるような種類のものではないでしょう。
しかしながら、相続放棄をするのかしないのか、それらを判断する材料の収集や整理に
予想以上の時間がかかってしまう場合があることに注意して下さいね。
誰しもいつか必ず直面する相続。
明日に向かって、相続を「爽族」にしていきましょう。
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