こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

先日の日経新聞にこんな記事が出ていました。

 

「生前贈与マネー取り込む ~ 来年の相続増税控え」

 

記事によれば、信託銀行の「孫の教育資金贈与信託」が」大人気で、2013年

4月からスタートし、発売1年余で契約数7万6千件を超え、5193億円を

集めたとのこと。

当初の予定をはるかに超える大人気商品になっており、信託銀行の相続ビジネス

チャンスが広がっているようです。

 

これはどんな制度なのか?手順についてお話すると…

 

《Step①》 祖父母が金融機関へ預け入れ(信託等)

《Step②》 「教育資金非課税申告書」を金融機関経由で、孫が税務署へ提出

《Step③》 金融機関から引出し、教育機関へ支払う場合は「領収証」や

「振込明細」等を孫が金融機関へ提出(何度でも引出しOK)

《Step④》 30歳に孫が到達した時点で終了    

⇒ 使い切らなかった分は孫が30歳に達した日に【贈与】が

あったものとして贈与税が課税される。

 

なお、金融機関は上記書類を孫が30歳に達した日の翌年3月15日から

6年間保存する必要あり。

 

祖父母が金融機関に一括で1500万円を預け、その後、孫が幼稚園から大学への

進学時にかかる教育資金として引き出せば【贈与税ゼロ】でOKの制度です。

非課税金額は以下の通りになっています。

①学校 … 1500万円   ②塾・予備校(学校以外) … 500万円

 

なぜ、こんなに孫のための贈与資金が集まったのか?

 

背景には、来年度から始まる相続大増税を見据え、すでに110万円の贈与枠や

住宅資金の贈与の特例などを使い切った方が飛びついたようです。

例えば、孫が5人いたら、1500万円×5人=7500万円を合法的に相続財産

から減らせるというわけです。

 

ただ税理士からすれば、巷で広がっている動きほど注意する必要があって、

慎重かつ十分検討すべしということ。

ジャーナリストの山田順氏の著書『税務署が隠したい増税の正体』(文藝春秋)には、

この制度についてこんな記述があります。

 

(以下引用)

税務行政に詳しい人間は「これは富裕層に向けた国税の罠でしょう。そんなにいっぱい

口座をつくれば、資金の動きはすべて把握できますからね」と言う。

子や孫が受け取る口座は信託口座が中心になる。すると、信託手数料も取られる。

その手数料によっては、節税効果があるかどうかは不明だ。

(引用終わり)

 

う~ん、奥が深いというか難しい問題ですね。いずれにせよ、今まで大切に残してきた

お金をどう守るかは永遠のテーマです。その際に念頭に入れておくべきは、巷で流行って

いるものほど“天邪鬼”視点で自分の頭でしっかり考えることに尽きますね。

いつか誰しも直面する相続を爽族にするために、今からできる相続対策は実践していき

ましょう!

 

 

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