こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

2014年もあと3週間を残すのみ。
年末へ向けて、慌ただしくなってくる時期が到来ですね。

特にいま、世間を賑わせているのが【相続大増税】。
年明けからすぐ、
相続税の計算ルールが大きく変わります。
全国で2倍、都心で3人に1人、相続税がかかる。
そんなふうに言われています…(汗)

そんな状況の中で、相続税対策の基本中の基本があります。

▼毎年コツコツと110万円ずつ贈与すること

日本で最も高い税金は【贈与税】です。
贈与税は、無償で金銭やモノをもらった人にかかる税金。
汗水たらして一生懸命働いたわけでもなく、
タダで経済的価値を受け取ったということで、
高い税金がかかる仕組みになっています。

ただ贈与税には基礎控除があります。

【1人年間110万円】

つまり毎年、子供や孫に贈与しても、110万円までは控除されます。
例えば、毎年110万円ずつ、コツコツと贈与すれば、
贈与税を1円も払わずに財産を渡せます。

これにより、相続財産を生前に減らすことができる。
結果として、相続税も減らすことができます。

贈与税の計算対象期間は【暦年】。つまり、1~12月までの期間です。
年末までに、この110万円の枠を使って、

▼誰に
▼何を渡すのか?

を考えてほしいと思います。

例えば、

▼子どもに対し、現金を贈与
▼妻に対し、居住用不動産を贈与

(注)婚姻関係20年以上の夫婦の場合、2000万円
まで居住用不動産の贈与税ゼロでOK

などですね。
妻への居住用不動産の生前贈与については、
日本一の大富豪、孫正義氏が昨年12月に奥様名義に
移していたとのことで話題になりました。

生前贈与してから3年以内に夫が亡くなった場合、
その贈与資産は【持ち戻し】といって、夫の資産とみなされる。

つまり、相続税の対象になります。
ただこの妻への居住用不動産の生前贈与は、
この【持ち戻し】がありません。

極論を言えば、亡くなる直前にあわてて贈与してもOK。
しかし、デメリットもあります。
国税の贈与税はゼロでも、都道府県民税である、
不動産取得税と登録免許税と合わせ、約5%の税金がかかります。
よって、孫正義氏のような富豪には100%有効ですが、
万人に共通する対策ではありません。

自宅土地の場合、

【小規模宅地の特例】

という、相続税評価額を80%割引してくれる制度があります。

夫が死んで、妻がそのまま自宅土地を相続すれば、
この【小規模宅地の特例】が通常使えます。
ですから、孫氏のマネはしなくても大丈夫。(笑)

いずれにせよ、毎年コツコツ110万円の対策は、
国税としてはやらせたくない、
そんなふうに考えていると言われます。

毎年コツコツ110万円ずつ贈与されたら、
税務署はその分の税金が取れないから?

だから、

▼その贈与は本当に成立しているのか?
「あげる」という意思と、
「もらった、ありがとう」という意思が合致しているか?

という点を課税当局はシビアに見ます。
表面的に形式を整えていても、実態を調べる。

いわゆる名義預金問題は大変厳しくて、

「相続時に怖い思いをするぞ!」

と盛んにアナウンスしています…(汗)

巷のマネー雑誌などでは、

「贈与の証拠になる」

として、毎年120万円ずつ贈与し、
110万円を10万円飛び出た分の贈与税を1万円だけ払う、
といったスキームを提唱しています。

しかし、これだけでは贈与の証拠になりません!

毎年120万円ずつ、
子供・孫5人に対し、計600万円贈与する。
20年間で1億2千万円贈与し、コロッと死んだとします。
税務調査が来て言われるのが、

「この1億2千万円は被相続人(死んだ人)の財産です。
相続税の対象になりますよ。」

と…(泣)

これがいわゆる【名義預金】です。
毎年コツコツ20年やってきたことを税務署が認めてくれない…
こういうケースはよく起こります。
いわゆる“なんちゃって贈与”ですね。
例えば、せっかく子供名義の口座にお金を振り込んで、

「このお金は生前贈与です。
110万円以下だし、問題ないでしょう。」

と言ってみたところで、子供名義の口座の通帳と印鑑を
親がそのまま管理していたらアウト!
形式だけでなく、実態があくまで問われるのです。

誰の身にも起こる「相続」。

相続を“爽族”にすべく、今から準備していきましょう!

年内に生前贈与すべき人はお忘れなく。

 

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