こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の岩佐です。
私どもの事業理念として、ベターではなく、あくまで【ベスト】な相続シナリオを設計し、推進する
ということを掲げております。
ただこれは「言うは易し、行うは難し」。
数多くの相続対策のご支援を手掛けていると、つくづく感じるのは、
ベストな相続対策とは単に、
▼遺言書を書く
▼生前に財産を減らす
▼財産を持ち替え、相続税評価額を引き下げる
といった技術論だけでは設計できないということ。
テクニックだけであれば【ベター】のシナリオはできても、【ベスト】のレベルには
絶対到達できません。
なぜなら、相続は家族の死に直面した時に生じるものだからです。
よって【家族論】に根差したシナリオでなければならないのです。
実は【家族論】という名著(講談社)があります。
550ページほどの辞書ぐらいの厚さのある本です。
著者は、レオン・バッティスタ・アルベルティ。
レオナルド・ダ・ヴィンチとともに、万能の天才として名高い人文主義者です。
この本には、フィレンチェ郊外の名門貴族でありながら、激しい政争に巻き込まれ、
追放されながらも、実業家として成功した父が亡くなる直前、病床に集まった家族
に対し語った内容が基になっています。
いわば、名門貴族の処世術が書かれているのです。
その中にこんな記述があります。
「父の遺言によれば、この世のすべての富よりも価値があるのは【美徳】であり、
これこそが父親が子供たちへ贈る、最大の遺産である。」
「富を得るために、美徳を失ってはいけない。」
「物事への配慮と熱意は富の母である。」
今から600年近く前に書かれた書ですが、
先進国より20年早く高齢化社会を迎え、相続ニーズの高まりを見せる現代の日本人に対し、
警笛を鳴らす言葉のように感じます。
もう10年以上も前の話になりますが、私が独立起業する前の修行していた勤務時代に
こんなケースがありました。
ある地主さんの相続対策として、大手ハウジングメーカーと連携し、賃貸マンションを建て、
その家賃収入を長男に入るようにするというプロジェクトに参画させて頂いていた時のお話
です。
立派な収益マンションが建設され、大手ハウジングメーカーの支店長はホクホク。
当時勤務していた会計事務所の所長先生もホクホク。
また、お客様のお父様も満面の笑顔。
でも、私は複雑な思いに駆られていました。
なぜなら、そのご長男さんは当時40歳くらいで奥さんも子供のいる方でしたが、
平日の昼間からパチンコ三昧、合間には喫茶店で漫画を読みふけり、仕事を全くしていません
でした。
男の40代と言えば、まさに仕事を通じ己の人生価値を決める大事な時期。
それなのに、親からもらった賃貸マンションからの不労収入が年間1000万円ほどあるためか、
全く仕事をする意欲のない方だったのです。
次世代へ相続税がかからないようにしたことが、子供のたくましく生きる力を失わせ、
懸命に努力することの【美徳】を消し去ったとしたら…
ベストな相続シナリオとは言えませんね。
ベストな相続対策とは、税金が安くなればそれで万々歳というレベルのものではありません。
誰しもいつか必ず直面する相続。
明日に向かって、相続を「爽族」にしていきましょう。
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