こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

先だってのブログで、信託銀行の「孫への教育費非課税制度」利用上の注意点

についてお話しました。信託銀行による本制度は昨年新たに創設されましたが、

孫に対する教育費は従来から贈与税は非課税です。

だから特段、信託銀行のシステムを利用しなくてもOK。

 

実は、国税庁のHP(平成25年12月)において、

「扶養義務者(父母や祖父母)から『生活費』又は『教育費』の贈与を受けた場合

の贈与税に関するQ&A」

というものが掲載されています。

これによれば、以下のQ&Aがあります。

 

【Q】

扶養義務者(父母や祖父母)から生活費又は教育費の贈与を受けましたが、

贈与税の課税対象になりますか?

 

【A】

扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるために贈与を受けた財産

のうち「通常認められるもの」については、贈与税の課税対象になりません。

(注)

「教育費」とは、被扶養者(子や孫)の教育上通常必要と認められる学資、

教材費、文具費等をいい、義務教育費に限られません。

 

上記に書かれているのは、子供や孫が学校に入ったら、入学金と1年分の

授業料を振り込んであげれば、贈与税がかからないということ。

これを実行する場合の理想的なやり方は、

 

▼自分の口座から直接学校の口座に振り込んで、その振込票を手元に

保管しておけばOK

 

この金額が110万円を超えていても、贈与税はかかりません。

信託銀行のシステムを利用しなくても、正々堂々と払えばよいのです。

知っているか知らないかだけで差がつくのが、お金の世界です。

いつか誰しも直面する相続を爽族にするために、今からできる相続対策

は実践していきましょう!

 

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

先日の日経新聞にこんな記事が出ていました。

 

「生前贈与マネー取り込む ~ 来年の相続増税控え」

 

記事によれば、信託銀行の「孫の教育資金贈与信託」が」大人気で、2013年

4月からスタートし、発売1年余で契約数7万6千件を超え、5193億円を

集めたとのこと。

当初の予定をはるかに超える大人気商品になっており、信託銀行の相続ビジネス

チャンスが広がっているようです。

 

これはどんな制度なのか?手順についてお話すると…

 

《Step①》 祖父母が金融機関へ預け入れ(信託等)

《Step②》 「教育資金非課税申告書」を金融機関経由で、孫が税務署へ提出

《Step③》 金融機関から引出し、教育機関へ支払う場合は「領収証」や

「振込明細」等を孫が金融機関へ提出(何度でも引出しOK)

《Step④》 30歳に孫が到達した時点で終了    

⇒ 使い切らなかった分は孫が30歳に達した日に【贈与】が

あったものとして贈与税が課税される。

 

なお、金融機関は上記書類を孫が30歳に達した日の翌年3月15日から

6年間保存する必要あり。

 

祖父母が金融機関に一括で1500万円を預け、その後、孫が幼稚園から大学への

進学時にかかる教育資金として引き出せば【贈与税ゼロ】でOKの制度です。

非課税金額は以下の通りになっています。

①学校 … 1500万円   ②塾・予備校(学校以外) … 500万円

 

なぜ、こんなに孫のための贈与資金が集まったのか?

 

背景には、来年度から始まる相続大増税を見据え、すでに110万円の贈与枠や

住宅資金の贈与の特例などを使い切った方が飛びついたようです。

例えば、孫が5人いたら、1500万円×5人=7500万円を合法的に相続財産

から減らせるというわけです。

 

ただ税理士からすれば、巷で広がっている動きほど注意する必要があって、

慎重かつ十分検討すべしということ。

ジャーナリストの山田順氏の著書『税務署が隠したい増税の正体』(文藝春秋)には、

この制度についてこんな記述があります。

 

(以下引用)

税務行政に詳しい人間は「これは富裕層に向けた国税の罠でしょう。そんなにいっぱい

口座をつくれば、資金の動きはすべて把握できますからね」と言う。

子や孫が受け取る口座は信託口座が中心になる。すると、信託手数料も取られる。

その手数料によっては、節税効果があるかどうかは不明だ。

(引用終わり)

 

う~ん、奥が深いというか難しい問題ですね。いずれにせよ、今まで大切に残してきた

お金をどう守るかは永遠のテーマです。その際に念頭に入れておくべきは、巷で流行って

いるものほど“天邪鬼”視点で自分の頭でしっかり考えることに尽きますね。

いつか誰しも直面する相続を爽族にするために、今からできる相続対策は実践していき

ましょう!

 

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

7月27日付の日経新聞にこんな記事が出ていました。

 

「相続税 課税対象が倍に ~ 1200万世帯 非課税枠の縮小で」

 

来年度から相続税の計算ルールの変更に伴い、一定金額までは課税しない

基礎控除が【4割縮小】になります。たとえば、4人家族で相続が発生した

場合、現行は8000万円まで基礎控除がありますが、平成27年度より

4800万円まで縮小になります。

 

記事によれば、三井住友信託銀行が政府の全国消費実態調査に基づき試算した

ところ、全世帯数の【23%】が課税対象になることが判明したとのこと。

 

また東京都内で相続が発生すれば、2人に1人が相続税の申告が必要になる

という見方もあるようです。

 

当初、政府税制調査会は過去の税制改正データから推計し、

今回の増税で実際に相続税がかかる人は現状の1.5倍程度になるとみていました。

 

しかし実態はそんなに甘いものではないようですね…(汗)

相続大増税の影響は、想定を超えるものになりそうです。

 

ボーイスカウトの規範は「備えよ、常に(Be prepared)」。

「いつ何時、いかなる場所で、いかなる事が起こった場合でも、善処ができるように、

常々準備を怠ることなかれ」という意味だそうです。

 

これは相続にも当てはまります。

いつか誰しも直面する相続を爽族にすべく、今からやるべきことはどんどん実行して

いきましょう!

 

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

一般庶民の7割は家訓を作っていない事実がありますが、名家には家訓が必ず存在します。

私が税理士として多くの相続案件に携わる中で感じるのは、

 

▼相続は家訓が9割

 

ということです。争族対策や税金対策よりも、家訓の方が重要度は上です。

確かに「金持ち三代続かず」の要因の一つに、高い相続税の存在が挙げられます。

わが国の相続税法を見ると、日本は三代経ったら資産のほぼすべてを召し上げる社会システム

であることがわかります。しかし、いくら高いとはいえ、1回の相続において税金で遺産の

100%を持っていかれることはありません。

 

二代目・三代目にとって税金対策などの「守りの戦略」は確かに必要ですが、それよりも

大切なのは、先祖代々の資産を運用する投資家たるマインドです。そのマインドを代々継承して

行く手段こそが【家訓】なのです。

特に今日は時代の変わり目といわれ、世の中が猛烈なスピードで変化している今、次世代が

守りに入ってしまえば、時代の激流に飲み込まれ、たとえ名家でも没落していくのは必至です。

わが国の相続税の餌食になるのは間違いありません。

だからこそ、相続大増税の時代に負けない【不変】の戒めを家訓として残しておかねばならないのです。

「金持ち三代続かず」という言葉がある一方、「三代続けば末代まで続く」という言葉もあります。

いつか誰しも必ず直面する相続を爽族にできるよう、今からやるべきことをやっていきましょう。

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

争族対策の基本中の基本として【遺言書】を作っておくことの重要性は最近よく耳にします。

確かに遺言書作成割合を示す2012年の調査データは以下の通りになっています。

▼経済産業省 … 4%

▼日経新聞社アンケート(2012年8月5日付記事) … 16%

 

日経新聞社の読者は知識層が多いためか、経済産業省の数値より高くなっているものの、

全体の2割に満たない水準です。

そんな中で最近は、遺言書までは仰々しいということなのか、【エンディングノート】が

注目されています。エンディングノートとは、万一の時、家族や親族が困らないように、

葬儀や墓の希望など自分の意思を書き込んでおく冊子で、他に自身に介護が必要になった

際に希望することや、延命措置の希望、財産など相続に関すること、自分史などを書いたり

します。中には、2年で25万部売れたノートもあるようで、世間の関心の高さがうかが

えます。

 

しかし、遺言書やエンディングノートというのは、争族対策のテクニック論にすぎません。

相続対策の本質は、次世代のみならず、三世代にわたり物質的のみならず精神的にも、

子々孫々が豊かになるための家系設計なのです。

 

「金持ち三代続かず」「長者二代なし」「売り家と唐様で書く三代目」

という言葉がありますが、これらは三代続く繁栄がいかに難しいかを意味しています。

真の相続対策は、遺言書やエンディングノートに終始するのではなく【家訓】をつくる

ことです。名家には、家訓が必ず存在します。

歴史をたどれば、江戸時代の中期頃から、石田梅岩などの心学思想の影響もあって、

数多くの商家に家訓が誕生しました。その背景には、自らの家の存続や一族の将来に対する

明確な見通しが持てなくなったことがありました。

そうした家系の将来不安から、自らの死後も子孫代々の繁栄が続くようにと願い、自らの

経験に基づいた戒めや教えを「家訓」という形で、数多く後世に書き残したのです。

このお話は次回に続きます。

誰しもいつか必ず直面する相続。相続を爽族にするよう、ベターではなく、ベストの相続

シナリオを設計していきましょう。

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

自宅不動産について80%の評価減が受けられる【小規模宅地の特例】ですが、

文字通り“小規模”である条件があります。

具体的な面積でいえば、現行の相続税法では【240㎡(約73坪)】。

来年度以降は基礎控除の縮小など相続大増税の流れにあるものの、この特例は

逆に減税チャンスが拡大し【330㎡(100坪)】。

 

相続税を考えると、日本人の生き方として、大金持ちより小金持ちの方が幸せ

かもしれないと考えてしまいます。

確かに【豪邸】というのはステイタスシンボルではありますが、

家族が顔を合わせるために努力が必要になるし、掃除も大変です。

しかし、家が小さいと掃除も楽だし、家族が一間に寄り添って眠れるので、

家族は自然と一体になれます。

そして、相続の時も「小規模宅地の特例」が100%受けられます。

 

相続税は累進構造になっており、来年度以降は遺産総額6億円超に【55%】

という最高税率が新設されます。

(現行の最高税率は3億円超で50%)

日本は大金持ちには確かに冷たい国なのかもしれません。

ただ幸いなことに日本にはインドのようなカースト制度ほどの身分上の厚い壁は

存在しませんし、起業するなどその気になれば、大金持ちにはなれなくても、

小金持ちにはなれる可能性が大いにありますね。

 

私は税制から見て、日本人としての最も賢明な生き方の最適解は【小金持ち】だと

考えています。大金持ちにふさわしい国は、シンガポールや香港など相続税のない国

かもしれません。現に富裕層の日本脱出はここ数年加速しています。

この日本で日本人として生きていくために何が最適解なのか?

あなたはどのように思われますか?

 

 

 

 

 

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

先日、国税庁より発表になった路線価が都市部で上昇傾向にあるという事実は、

来年度からの相続大増税の打撃を受けやすくなることを意味します。

中でも「自宅不動産」は相続財産としてエントリーされていることが多い。

 

そうなると相続税対策上、多くの個人にとって【小規模居住用宅地の評価減

の特例】は課税の有無を左右する重要なポイントになるでしょう。

この特例を使うことができば、240㎡(来年度以降は330㎡)まで評価額

を【80%】も減らすことができるからです。

 

では、この特例を使うにはどんな条件があるのか? ズバリ、次の3つです。

 

①親(被相続人)の住んでいた土地である

②土地を取得するのが一定の相続人

③配偶者以外の相続人は相続税の申告期限までに実際に住む

 

(注)配偶者が相続する場合、上記③は必要ありません。

同居していてもOK。また申告期限まで貸していても、売った場合でも

評価減OK。

 

これらの条件を順に【すべて】クリアしないと特例が使えないことに

注意して下さい。

例えば、親の土地で同居の子供が相続しても、その子供が相続税の申告

期限(相続発生から10ヶ月)以内に転居したり、売ったりしたらアウト。

 

特に、相続人の要件が複雑です。

親と同居していなかった子供が相続する場合、親の死亡前3年以内に自分や

自分の配偶者が所有する家に住んだことがないことが必要です。

よって、他の家に嫁いだ娘の場合、ずっと借家住まいならOK。

しかし、夫の持家に3年以内に住んでいる場合はアウトになります。

 

ベストなのは【小規模居住用宅地の評価減の特例】の適用がきっちり受けられる

ように生前対策の段階でインフラ整備しておくことです。

何事も【逆算思考】が大切ですね。

いつ誰しも直面する相続を“爽族”にするように今からやれることはどんどん実行

していきましょう!

 

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

国税庁は本日、相続税や贈与税の計算基準となる2014年度分の【路線価】

を発表しました。

路線価とは、全国の主な道路に面した土地1平方メートルの評価額(1月1日時点)。

国土交通省が毎年3月に公表する公示地価の8割を目安に、売買価額不動産鑑定士の

意見などを参考に国税庁が定めます。

 

▼全国平均0.7%下落(前年比)

 

したものの、下げ幅は縮小。中でも、東京・大阪・愛知はリーマンショック前の2008年

以来6年ぶりに上昇。

 

上げ幅トップは、昨年に続き震災の復興事業が続く宮城2.4%。

次いで、2020年に五輪が開催される東京1.8%。

関西では、今春本格オープンした「あべのハルカス」と、昨年開業したJR大阪駅北側の

「グランフロント大阪」周辺がそれぞれ全国2位と3位。

 

こうした明るいニュースですが、来年度から始める相続大増税を加速させそうです…(汗)

一般的には相続財産の半分を土地が占めると言われますが、路線価が上がるとなれば、

納税資金の確保など相続税対策の検討が必至になります。

 

いつか誰しも直面する相続を“爽族”にするべく、今日からできることは具体的に実行

していきましょう。

 

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こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐孝彦です。

先日、日本生命・神戸支社にてセミナー講師を務めました。

テーマは「今から相続の準備をかしこく進める方法」。

参加者は約70名でした。

 

主な内容として以下のお話をさせて頂きました。

★よくある相続トラブル事例

★来年から始まる相続大増税

★小規模宅地の特例の拡充について

★忍び寄る相続税貧乏~自腹を切って相続税を支払う?

★“へそくり”が危ない!~夫の稼いだお金は2人のもの?

★キャッシュ重視の相続対策の設計図

 

日本生命・神戸支社では3月にも同じテーマでセミナー講師を務めさせて頂き、

今回はリピート開催でした。

生保、不動産、信託銀行、証券会社など多くの業界で生前贈与マネー争奪戦が

繰り広げられていますが、これは情報が氾濫していることを意味します。

私たちは正しい情報をしっかり認識し、色んな情報に惑わされないように

していかねばなりません。

そのためには相続対策の本質論を知ることが大事!

いつか誰しも直面する相続を“爽族”にしてきましょう!

 

 

 

こんにちは、神戸のベスト相続相談協会の税理士の岩佐です。

先日のブログで【共有は紛争の母】というお話をしました。

 

今日はその解決策として有効な【代償分割】について解説します。

代償分割とは例えば、長男が自宅不動産を相続する【代償】として、

次男の相続分に相当する金銭などの財産を支払う債務を負うという

方法です。

 

平成2485日付の日経新聞において、こんな記事が出ていました。

「相続に不安3人に1人」

 

この記事の中で、継ぐ側(子供世代)が親の相続財産の中で最も欲しい

ものとしてダントツ1位が【預貯金】となっています。

つまり「現金」を一番欲しいと子供世代も考えているケースが大半なのです。

よって、共有でトラブルになる可能性がある場合は、共有を回避し、

代償分割により現金を渡すという方法は解決策として有効になる確率が

高いのです。

 

ただその際には【代償分割】に関する約束事を遺産分割協議者に「相続財産の

代償として現金を渡す」と必ず明記して下さい。

 

万一明記がなければ、長男から次男に対する【贈与】とみなされ、110万円を

超える部分に贈与税がかかります。

日本で最も高い税金は「贈与税」ですからご注意を!

 

また、相続した財産とは別に、長男が所有していた土地や株など、金銭以外

の財産で代償交付を行う場合は、財産を譲渡したものとして【譲渡所得税】

の対象になる可能性がありますので、合わせて注意して下さい。

 

しかし例えば、長男が自宅不動産を相続する代わりに次男に現金を渡すと

いっても、代償分割の原資を長男が用意できれば問題ありませんが、普通は

そうはいかないこともあるでしょう。

その際には【生命保険】をツールとしてうまく使うことです。

いつか誰しも直面する相続を“爽族”にすべく、やるべきことはやっていきましょう!